27歳の誕生日は、彼からのおめでとうメールに始まり、友達からおめでとうメールで終る。親からは、「あなた、〇〇くんとは過ごさなくていいの?」などという連絡をもらうが、もちろん、別れたことや今の関係を伝えるわけには行かなかった。親も充分察しているとは思うが、私の口からはまだ語れる所まできていなかった。
それなりにお祝いをしてもらい、それなりに楽しい誕生日ではあったものの、何となく、喜べない部分もあった。もちろん、もう喜んで迎えれる年齢ではなくなってきているのだけれど・・・。
そんな心境のまま、私はアパートに戻り、学校へと向かった。誕生日の夜に学校に行くなんて・・・と思いながらも、終っていないことは山ほどあった。学校へ着くと、後輩の1人がプレゼントをくれた。研究室では誕生日など誰も興味がないので、覚えていてくれている人がいることが嬉しく思った。その後輩の行動を見て、また別な後輩が「誕生日だったら言ってくださいよ~。僕だってそれなりに用意したんですから~」と大げさに言った後、「あっ、でも、もう祝ってもらって嬉しい年でもないですよね~」という皮肉を言われ、「すみませんね」と返すと、ゴソゴソと何かを探し始め「これ、一風堂(ラーメン屋)の手ぬぐいです。こんなものしかないですけど、僕からのお祝いです!」と渡してきた。まぁ、この後輩、憎まれ口だけはよく叩くが、可愛い所もある。
そんな風に、いつもの研究室でいつものようにパソコンに向かいながら、私は彼にメールを書いた。
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△△さんへ
こんはんは。楽しい休日を過ごされましたか?
本来、私からあなたへメールを書くべきではないような気がするのですが
昨日書いたメールに「私が書く」と言う意志が含まれていたので書きます。
でも・・・今でも考えています。
結果的にあなたを失望させてしまうのに、私はこのメールを書くことが
許されるのか否か。
やはりやめるべきではないかと言う答えの方が、私の中では上回っています。
しかしながら、ここ数日間、悩み苦しみながらも、おぼろげに△△さんを
感じることができたことはとても新鮮な時間でした。
あなたを大変苦しめてしまったことは私にとってもとても哀しい現実でしたが
それでも特に異性にこのような感情を持てたことが嬉しかったです。
そして、日常のふとした瞬間に、誰かのことを思えることも嬉しかったです。
また、△△さんからの質問には可能な範囲で答えていきたいとは思っておりますが
私を詮索される内容についてのご質問には答えられない場合が多いですので
その点のみ、ご了承ください。
それでは、△△さんの幸せを心から願っております。
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P・S 昨日は良く眠れましたか?眠剤を大量に飲まれるのはご存知のように
良い行いとはいえません。どうぞお控えください。お願い致します。
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このメール後、少々私と彼との関係は停滞する・・・(つづく)。