一通り、説明を受け、協同生活の厳しさを初日から実感させられる私たち1年生。その後、よろよろと各部屋に戻り、同室者とポツリポツリと話し始める。
ちょっと言い忘れていたが、寮は学校の敷地内の一角にある。寮務室と食堂が真ん中にあり、それを囲むようにして男子寮が2つ、女子寮が2つ、男子寮浴室がある。食堂と寮務室は同じ棟にあり、そこに公衆電話が4台とその近くに放送室がある。当時は携帯電話などなかったので、テレフォンカードでかけるか、寮の代表電話(放送室内1つ、公衆電話のうち1つ)にかかってくることになる。日中、電話がある場合は、寮母さんが対応してくれ、呼び出してくれるが、5時以降10時までは1年生が当番となり、電話を取次ぎアナウンスする。その際ももちろん決め台詞がある。確か・・・「失礼します。こんばんは。○○年生の△△さま、お電話が入っておりますので、至急食堂までいらしてください。」これを二回繰り返したあと、「失礼します」と切るような感じだ。そして、男女間の寮の行き来も禁止で、通学生は性別に関わらず寮に入ってはいけない規則になっている。寮は玄関はもちろん、部屋に鍵もかかっていない。セキュリティ時代であっても、こんな事が平然と行われており、何の問題も際して起こらないのだから、平和な所なのだと思う。しかし、多感な高校生。男女間の恋愛ももちろんある。お互いの部屋に行くことはできないので、その場合は放送室に行って、呼び出してもらうのだ。そのときの決め台詞は「失礼します、こんばんは・・・・」は電話と一緒で、お電話の所が「ご面会の方がいらっしゃっておりますので」に変更になる。その呼び出しの回数によって、ある程度誰が付き合っているかが暗黙のうちにわかるようになるわけだ。
そんな寮生活。24時間200日ぐらいは1人にもなれない。プライバシーがないと言うことの辛さが14歳の心にしみるのに時間はかからない。そして、先輩に睨まれる生活・・・。だいたい、事件は2,3週間後に起こることになる・・・(つづく)。