半ばヒーロー的に登場したKPだったが、主役ではないので、かなり端折って書いている。KPはいい男だ。私が本当に腹を割って話せる数少ない友人の一人。もちろん、女友達もいる。でも、こんな時、KPに連絡してしまうのは、何となく男でできたキズは男でしか癒されない気がするからだ。そして私は、KPなら深い部分まで受け入れてくれると知っているからだろう。ここまで深く受け止めてくれる友達は、男女関係なくKP以外にいない。それだけ参っていたともいえるんだけどね・・・。
彼には書いた通り、長い長いフリーター生活の時期があった。大学に入学当時、彼には高校時代に付き合っていた彼女がいた。彼はとってもその子が好きだったんだと思う。その彼女は地元の銀行に就職した。彼は彼女と離れたくなくて、彼女の就職が決まるまで自分の就職先を決めなかった。そうこうしているうちに彼女に別れを告げられ、就職も時期を過ぎ、彼は一人社会に投げ出される形となった。そこには、語られない様々な思いがあったのだろうと思う。プータローという肩身の狭い中で彼は実家に帰った。実家でも、職の決まっていない彼を暖かく歓迎するはずもなく、彼なりに葛藤していたと思う。彼は家業(大工)の営業活動をしながら、毎日パチンコ屋で深夜まで働いてお金をためていった。そして、その時期のパチンコ屋のバイト明けに本当に時々、連絡をくれた。何を話すわけでもない。地元のあいつはどこにいるだの、○○は何しているだの、そんな話だ。私は彼の話しに黙って深夜、耳を傾けた。そんな話の途中、彼は言った。「俺も25までかなって思ってるんだ。こんな生活するのも。そう思って今は頑張ってる。やりたいことが見つかったわけじゃない。見つからないかもしれない。でも、25になったらどこだっていいから定職に着こうと思うんだ。」と必ず言った。その彼の電話での物言いの穏やかさと鋭さに、「KPも大人になったんだね」と私は言った。彼はいろんな経験をして、いい男になっていた。人の痛みも気持ちも分かる男になっていた。彼は私に何でも語った。だから、私も何でも語った。そうして、私たちは何だか不思議な関係になった。
24歳の冬、彼から電話を貰う。「俺、専門学校に行こうと思うよ。たまたま受けたら受かっちゃってさ、行こうと思ってるんだ。今まで働いて貯めた金使ってさ。俺、今まで何も真剣にしてこなかったから、今、すんげー勉強してーよ。初めてそう思ってるよ。俺、頑張るよ。」・・・そう、こちらにも闘志が伝わるくらい彼は意気込んで電話をくれた。それから本当に彼は頑張って勉強していた。昼間は働き、夜間は学校に行く生活。なかなかできるもんじゃない。
今、彼には付き合っている人はいないようでいるようだった。一人の女性がずっと自分を好きでいてくれるのだそうだ。でも、付き合ってはいないらしい。彼はそのこの子とがすごく好きなわけではないのかもしれない。でも、でも、彼は彼女を待たせているのを知っている。きっといつか、その時が来たら、彼はその子を幸せにする決心をすると思う。だけど今、7つ下の子(19歳)の子にバイト中に告白されたそうだ。7つ下はムリだよな~という彼。そう・・・彼はカッコいいのだ。幼少期の私の一目ぼれした相手だからネ~☆
でも、私と彼の間には、今もこれからも何もない。何もないから、いいのだと思ってる。何もないけど、彼は私にとって物凄く大事な人。この関係をできればずっと、続けていきたいと思っている。付かず離れず・・・のこの関係を。