寝不足の瞼の腫れが残る朝、いつものように両親からのモーニングコールで起こされる私たち。出勤まで2時間もあるから、このモーニングコールはただの迷惑でしかない。ただし、彼にとってはそうでもない部分もある。7時、電話を取ったあと、彼は彼の横で小さく丸くなっている私を後ろから抱きしめる。そして、私の身体を彼の向きにくるりとまわすと私にキスをして抱きしめる。・・・うーん・・・と思う私。だいたい・・・わかる。そんな行為を2,3回繰り返すと、彼は私の手を掴み、遮光カーテンに覆われてはいるが夏の陽射しが燦々と入るリビングで自分の所にその手をいざなう。言葉はない。無言のまま、ソレを握らせられる。ソレは、朝だから元気なのか、それともそういう気になったのかわからない。血圧が低い私は、朝からそんな気分にはなれない。だけど、そんな容赦はもちろん・・・ナイ。この頃の私は、もう彼といずれ別れなければいけないことが悲しくて、悲しくて自分自身をコントロールできていなかった。そして、寝不足の朝。頭のぼんやり感は最高潮だった。適当に手を動かしていると、彼から「ちゃんとして」と言われる。・・・文字通り言葉を失う私。2つの感情が入り交ざる。なんで、私はアンタとしなければいけないのか?という感情と、求められるだけ、まだマシなのか?という感情。そして、奥底には未だ捨てきれない彼への愛情がしっかりしがみついていた。私の躊躇はすぐにかき消され、彼の指示に従う。でも、ちっとも楽しくなんかない。何で私はこんなこと、しているんだろう・・・どうして、彼は私を求めるんだろう・・・。やりながら、また悲しくなってしまう私がいた。
彼は満足げにフィニッシュ。30分ほど一眠り。出勤、1時間15分前に目を覚ました彼に、私は思わず言ってしまう。「どうして一緒にいられないの?」と。それは、一緒にいられない関係なのにどうしてそんなことを求めるの?という言葉の裏返しだったのかもしれない。すると、彼は「恋愛と結婚は違うんだ。好きなだけじゃ、結婚はできないんだ。」と言う。どうして?どうして好きだけじゃダメなの?好きじゃなかったら、結婚、できないでしょ?・・・「だから、お前はダメなんだ。お前がしたいのは結婚じゃなくて、恋愛じゃないのか?」・・・私は好きだから、一緒にいたいって思ったの。それっておかしいことなの?・・・「それだけじゃ、結婚はできないの。」・・・じゃあ、それ以外に何が必要なの?・・・「それくらい、自分で考えろ。お前、俺と付き合ってて、そんなこともわからなかったのか。はぁ~あ。ほら、もう起きるぞ~」
言われていることが何となくわかるようでわからない私。何が必要なんだろう・・・。あとのものなんて、ついてくるものなのじゃないかと思う。どうにかなるものだと思う。占い信者の彼としては、運命なのかもしれないし、相性なのかもしれない。そして今の私たちにはどちらも、多分、ナイ。彼は言ってた。運命は変えられないものだって。・・・気持ちを切り換えて、朝ご飯の支度をする私。今日もここから学校に行って、夜またここに来る。今日を最後に、あとはなかなか来れなくなるだろうな・・・という予感を持ちながら・・・(つづく)。