彼と付き合って、彼のアパートに行くようになってから、私の仕事が一つ増えた。もちろん、夕食を作ることとか、彼の部屋を掃除することは別段何も感じない。その仕事とは、彼の背中を掻くことだった。
デブい彼は重力に弱い。よって、帰ってきてはゴロン、ちょっと起きてはゴロンと転がりまくる。さらには、その肉厚さゆえ、夏は汗をたっぷりかくし、背中にはデブくてふき取れない汗がたまるのだろう・・・汗もができていた。私の仕事は、彼の手の届かない背中を服の上からかいてあげることだった。「もうちょっと右・・・上・・・下・・・ソコソコ・・・んん・・・いいね・・・」なーんてことが日に3,4度もある。自分で自分の背中もかけないぐらいデブになって、この人は何も思わないだろうか・・・と何度も思う。
また、彼が出勤する時、私は彼のYシャツをよく選んだのだが、時々「今日はこれ!」というと、「あ・・・それ、なんか小さいんだよね」というシャツが1枚。・・・小さいんじゃなくて、太ったってこと??っと思って、オイオイまだ横の成長期なの?と思ったこともあった。
ちょっと課外活動で遠出した時、お土産屋さんにある孫の手を思わず買ってしまいそうになったけど、それって嫌味かなって思って当時はやめた。今は孫の手なんてかわいいの、プレゼントしなくて良かったと思ってる。彼には「痩せの手」が必要なんだから(笑)。