母親との待ち合わせは今週の日曜日。そして、明後日木曜日が面接の私。金曜日の夜にすぐさま実家に帰る彼と会えるのは今日が最後というわけだ。しかしながら、「大丈夫。心配すんな」といういつもの挨拶以外に何も勇気付けてはくれず、朝彼のマンションを後にする私。その日は面接とあって、持っていく履歴書の最終チェックなどを行う。これは、おそらく大丈夫な面接だけど、万が一でも不採用であってはならない面接でもある。だって、彼の母親は昔でいう職業婦人を望んでいるのだから。
私は医者の嫁というものに対し、多くの人は専業主婦を望むものだと思っていた。いつ呼び出しされるかわからない職業だし、宿直もあるのだから、そんな時に妻にはしっかり家にいてもらいたいと考えると思うのだ。でも、彼の母親の場合はそうではない。自分が大学の教授ということもあってか、働く人を求めている。しかも、パートとかじゃダメだ。いわゆる専門職の女性を望んでいるのだという。そんな話を聞いていると、母親の理想の女性とはつまり、自分なんだろうなと思う。そんなわけで、ちょっとは気合の入る私。
次の日の昼、向かった先は某女子短大。来年の4月から非常勤講師として教鞭をとることになる。この口は教授に紹介されたものだ。来年も学生だけど、つながりをつけておくのは大事ということで紹介してもらったのだ。気合が入っているのだが、髪はブラウンのまま。女子短大なんだから、派手な学生を見慣れている先生たち。これくらい普通だろうと勝手に判断。余裕があるんだなと自分でも思う。彼は、私の面接時間を知ってる。「頑張ってネ」とかいうメールを一言でもほしいと思ってしまう私。でも、メールは来ない。忙しいのかもしれないけれど、虚勢を張っているけど、これでも私、緊張しぃ何だから・・・って思う。「今からいってくるね」というメールをこちらから書いて、面接へと向かう。
非常勤と言ったって、バイトと一緒。面接と言ったって、学長が行うわけじゃない。学科長と話をするだけのこと。変な所で度胸が据わってしまう私は、何の緊張もなくあっさり面接終了。持っていたある資格が非常にいい方向に導いてくれた。ここで言われたことは、普通の大学生だと思って講義をしないこと・・・だ。中2ぐらいを思い浮かべて授業してもらえるとちょうどいいかもしれません。何せ、彼女達、1/5+1/3=2/8になる学生ですからね!パワーポイントは使わないように。資料とかもくばると安心して授業聞かなくなりますから、ゆっくりと晩書してください。・・・ということだった。時給4650円+交通費。これはいいバイトなのかどうなのか・・・。人前で90分、授業するのはかなり辛いと思った。その後、適当に世間話をして短大を後にする。とりあえず、ホッとする私。これで、母親の「就職がないからって、あなたと結婚しようとしてるんじゃないの」疑惑を晴らすことができる。全く、とんだ迷惑だ・・・。
車に戻ってメールを確認すると、何にも入ってない。忙しいんだろうなと思ったけど、とりあえず報告だけでもする私。「うまくいったよ。」とメールすると、それから5分後ぐらいに返信が来る。「でも、どうせ決まっていたようなものなんでしょ」・・・?、・・・そんなことしか言えないの・・・この人・・・ってちょっとゲンナリ。「これでも少しは緊張したんだよ」と返す。「よかったじゃん」と言う返事。ホント、テキトーだな・・・っと思ったが、ありがとうと返してメールは終了。
明日の夜は私も実家に帰って、例のお方にみてもらうことになる。さてさて、ここで何が起こるのでしょうか・・・(つづく)。